「日の丸弁当」って最近聞かなくなりました。今でもあるのでしょうか?
私が高校生の時、お弁当の白いご飯の真ん中にはいつも梅干しがありました。
私の教室は、夏にもエアコンがありませんでした。早朝、母親に作ってもらったお弁当は食べるまでにだいたい6時間ほど経過していたと思います。食中毒を起こしたことは一度もありませんでした。
当時、梅干しは、「弁当が悪くならないように入れてある」と聞いたことがあったのですが「本当かな~」と疑っていました。
実際に梅干しの殺菌力はすごいようです。
梅干しとは?
梅干しとは、梅の実を自然塩で漬け、天日干ししたものです。青梅にはアミグダリンという成分が含まれていて、これが胃で加水分解されるとシアン化水素(青酸)が生成され、ひどい場合は、死にいたる場合もあります。
しかし、熟した梅を食べても青酸中毒に陥る心配はほとんどないそうです。
また、塩漬けにして、直接日光に当てると、時間とともに無毒化します。直接日光を浴びた自然環境で栽培された梅を自然塩で漬けたものには、すばらしい効能があります。
梅干しの効能
低酸症や胃酸過多
胃酸の働きを正常化して、消化活動を円滑にすすめ、体全体の機能を健全なものにする効果があり、低酸症やその反対の胃酸過多にも大きな効果をあらわすようです。
唾液による効果
梅干しを食べるた時は、レモンを食べた時の倍近い唾液が分泌されます。この唾液が身体にさまざまな良い影響を与えます。ペルオキシダーゼには活性酸素を除去する働きがあり、カタラーゼには、活性酸素の毒性を抑える抗酸化力があります。
活性酸素は、万病の元とされていて、細胞を傷つけ、さまざまな怖い病気のきっかけとなる物質です。
また、アミラーゼは日本人の多くがエネルギー源としているご飯などの消化を助ける重要な働きをしてくれます。
疲労回復、体力強化
“病気はほとんどが腸内に老廃物が停滞し、それが異常醗酵していろいろな毒素を生じ、それが血中に吸収されることによって起こります。”
森下敬一医学博士
梅干しのクエン酸は、ブドウ糖の効力を10倍にも増強する働きを持ち、コハク酸、酒石酸、などの有機酸を含むアルカリ性食品で、血液を浄化してくれます。
コハク酸とは?
乳酸とともに清酒中に最も多く含まれる有機酸で、旨味のある特有の酸味を持ち、清酒の味を構成する重要な一因であり、コハク酸ソーダは、貝汁のうま味成分と言われています。
酒石酸とは?
ブドウに多く含まれていて、強い酸味を持ち、水に特に溶けやすく、アルコールにも溶けます。爽快な酸味を持ち、薬用や清涼飲料水に使われます。
食欲増進・消化促進
唾液腺、胃液腺を刺激して、消化液の分泌を促します。つわりや二日酔いなどで食欲が無い時でも、梅干しを食べることで食欲が出てきます。
胃腸病
梅干しに含まれているカテキン酸が腸の蠕動運動を盛んにし、腸内の殺菌やタンパク質の分解を助けます。そして消化活動が盛んになるので体力も強化されます。また、食欲も増進すると言われています。
カテキン酸
殺菌作用を持ち、虫歯や口臭の予防に役立ちます
老化防止
梅干しは唾液の若返りホルモンと言われるパロチンの分泌を促します。パロチンは、骨や筋肉、血管その他全身の組織の若返りをはかり、皮膚細胞の新陳代謝も盛んになることから、肌や髪を美しくします。また、性ホルモンの分泌を促します。
パロチン
主に耳下腺から分泌される唾液に含まれるホルモンで、白内障や更年期障害などの治療薬に使われていています。
新陳代謝を活発にし、皮膚の代謝により、シミやシワを防ぎ、髪や肌の発育を促します。
まや、骨や歯にカルシウムを沈着させ、丈夫にし、飲み込んだパロチンが胃や腸の働きを助けます。
梅干しの有効成分
リグナン
リグナンは、種実の脂質に含まれる化合物で、有名なセサミンがその代表的なものです。麦などの穀物に含まれますが、精白すると失われてしまいます。全粒粉なら摂れるが、普通の小麦では摂れないということです。
強い抗酸化力はビタミンEを上回ると言われ、ゴマ油が熱しても痛まないのはリグナンのためと言われています。亜麻仁油(フラックスシードオイル)にも豊富に含まれています。
梅干しがすっぱいのは、クエン酸やコハク酸などの有機酸で、疲労回復効果があります。また、吸収しにくいミネラルの吸収を促し、骨を丈夫にし、貧血予防にも効果があります。
梅干しとイワシを煮ると、骨までやわらかくなり、よりカルシウムが摂れるそうです。
クエン酸
テレビ番組などで、食酢に疲労回復効果があるということが伝えられ、食酢は、調味料としてだけでなく健康飲料としても注目されています。この疲労回復効果をもたらす食酢の中の成分がクエン酸です。
ミネラルの吸収を促進
吸収しにくいと言われているジカルシウムやマグネシウムの吸収を促進してくれます。
・エネルギーをつくり出す
食べ物のエネルギーを私たちの活動のエネルギーに変えるには食べ物を消化吸収し、複雑な化学反応が行われる必要があります。クエン酸は、その最終段階でブドウ糖を無駄なく、エネルギーに転換するために必要です。
・疲労回復
クエン酸には疲労物質である乳酸を分解する働きがあります。
本物の梅干し
最近、スーパーなどで市販されている梅干しのほとんどは、『調味梅干し』と言われるもので、本来の『梅干し』と言われるものとは違います。
『調味梅干し』は、塩漬けして天日干しをした梅干しを水やお湯で塩抜きしてから調味漬けして味付けをしたものです。塩抜きをするため、本来の栄養やおいしさも抜けてしまいます。また、塩分も抜けるので保存が効かないためもあって、ステビアやアスパルテームなどの合成甘味料などで味付けをしています。
それに対して、昔ながらの伝統で作る『梅干し』は、原材料は梅と塩のみでシンプルです。6月の収穫時期に黄色く熟した梅を塩漬けし、その塩漬けした梅を天日干しで干し上げたものを言います。
『梅干し』と『調味梅干し』を見分けるには、商品の裏に貼ってあるラベルに「梅干し」又は「調味梅干し」と表記してあります。
私たちの健康や美容を考え、伝統的な本来の梅干しのおいしさを味わうなら、伝統製法で作られた、無農薬の、天然塩で漬けた『梅干し』が良いことは言う間でもありません。
味付けをしているものでも化学調味ではなくて、本物の蜂蜜など天然の調味のものが良いようです。