世界保健機構(WHO)によりますと、2006年世界の糖尿病患者数は1億7,100万人ですが、2030年までにこの糖尿病患者数は倍増することが予想されています。
糖尿病ってどんな病気?
血液中のブドウ糖はインスリンの働きで細胞に吸収され、身体のエネルギーになります。しかし、インスリンが足りなかったり、インスリンが効かなくなる物質が分泌されることにより、細胞に吸収されないで血液中に残ってしまいます。
そのブドウ糖が※糖化することによって人間にとって大切な血管がボロボロになってしまうのです。
※糖化とは?
体内で不要な糖とタンパク質が結びついてAGEs(糖化最終生成物)という老化物質を生成してしまう作用です。
老化物質AGEsは体内で分解されにくく、これが体内臓器に留まれば三大成人病に、肌に蓄積されればシミや・くすみに、骨に留まれば骨粗しょう症の原因になってしまいます。
糖尿病になると、どうなるのか?
細い血管が破壊されると次の3つの合併症を発症します
- 糖尿病網膜症
- 糖尿病神経障害
- 糖尿病腎症
糖尿病網膜症
日本人の失明原因の第2位(1位は緑内障)。血糖値が高い状態が続くと、目の毛細血管が破れて酸素や栄養が届かなくなります。進行しても自覚症状が出にくいのが特徴である日突然、目の前が真っ暗になることが多いそうです。
また、低温やけどをしやすくなります。
糖尿病神経障害
神経細胞に血液が届かなくなり、神経に障害が起こる。発汗異常、立ちくらみ、便通以上、勃起障害、ちょっとした傷や水虫で足が腐り、年間2万本の足が切断されているそうです。
糖尿病腎症
高血糖が20年続くと、腎臓が機能しなくなり、人工透析が必要になります。人工透析は週3回、一回4時間、一生続けなければなりません。
太い血管も壊します(大血管障害)
- 心筋梗塞
- 閉塞性動脈硬化症
- 脳梗塞
心筋梗塞
心臓の筋肉細胞に酸素や栄養を供給している冠動脈血管に閉塞や狭窄などが起きて血流が下がり、心筋が虚血状態になり壊死してしまった状態をいいます。
閉塞性動脈硬化症
主に下肢の大血管が慢性に閉塞することによって、軽い場合には冷感、重症の場合には下肢の壊死にまで至ることがある病気です。
脳梗塞
脳に栄養を届ける動脈の閉塞、または狭窄のため、脳が虚血状になり、脳組織が酸素、または栄養不足のため、壊死またはそれに近い状態になります。
糖尿病の初期症状は?
- 食欲がある
- 体が疲れやすい
- のどが渇く
- 足の症状
食欲がある
血液中に増えたブドウ糖を処理しようとインスリンが多く分泌されるため。という説があります
体が疲れやすい
インスリン不足によりブドウ糖をエネルギーに変えられないため、エネルギー不足になります。
のどが渇く
ブドウ糖を排出するため尿の量が増えるためと言われていますが、「血液がドロドロになると脳が脱水状態と判定するから」という説もあるようです。
足の症状
毛細血管が傷つくことにより、感覚や運動をつかさどる自律神経に影響を与えます。
例(足がしびれる、足がほてる、足が冷える、足がつる、巻爪になる、足にタコができる)
糖尿病の原因って?
ブドウ糖負荷試験において、空腹時の血糖値、126mg/dl以上又は2時間後の血糖値200mg/dl以上を糖尿病と言います。
ではなぜ、血糖値が上がってしまうのか?
わかっている一般的な説
通常、食事によって血液中に糖が増えてくると、それに呼応する形でインスリンが分泌されます。よって、食べ過ぎや糖分の摂りすぎが続くと膵臓の負担が大きくなります。
それが続くと、やがて負担に耐え切れなくなり、膵臓がインスリン分泌不良になってしまうのが糖尿病の原因とされています。
糖尿病は単なる食生活や生活習慣の乱れで起こるわけではないという説
身体はストレスに対抗するため血糖を上昇させます。
なぜか?
私たちの身体は解糖系とミトコンドリア系の二つの方法でエネルギーを得ています。
ストレスが強いと血流が低下し、ミトコンドリア系のエネルギーが低下して、解糖系のエネルギーがつくり出されます。つまり、ストレスで血糖が上昇するのは解糖系を働かせて瞬発力を獲得するための大切な反応なのです。
しかし、解糖系は瞬発的なエネルギーを作るのは得意ですが持続力はありません。
いつまでもストレスが継続すると、低体温と高血糖というミトコンドリア系にはマイナス状態となり悪循環になってしまいます。
こちらの説からすると、現在、原因不明とされているⅠ型糖尿病の原因に辿り着けます。通常、『糖尿病』というとⅡ型糖尿病を指します。
Ⅰ型糖尿病は、まだ膵臓の働きに余裕のある若い年代に、発症する糖尿病です。
ストレスによる交感神経緊張で顆粒球が増加し、その顆粒球が膵臓のインスリン分泌細胞を攻撃してしまうのです。
糖尿病の治療は?
糖尿病の薬を知ろう
- インスリン抵抗性改善系
- インスリン分泌促進系
- 食後高血糖改善系
インスリン抵抗性改善系
ビグアナイド薬
肝臓で糖を作らせない薬
チアゾリジン薬
筋肉や肝臓でのインスリンの働きを高める薬
インスリン分泌促進系
DPP_4阻害薬
インスリン分泌を促進し、グルカゴン(血糖を上昇させるホルモン)を抑える
スルホニン尿素薬
インスリン分泌を促進する
即効型インスリン分泌促進薬
より速やかにインスリン分泌を促進する
食後、高血糖改善系
α-グルコシターゼ
小腸からのブドウ糖吸収を遅らせる
病院では血糖値が高いと糖尿病の薬が出ますが、薬では糖尿病は治りません。対処療法として血糖値を下げるものです。例えば、インスリン促進系では疲れ切った馬に鞭を入れるようなもので、やがては膵臓も破綻してしまいます。
食事療法により糖尿病を改善
ファミレスなどでは、飲み放題のドリンクバーがあります。子供にそれを与えておけば世話は無く、お金もかかりません。しかし、あの類のジュースには大量の糖分が含まれています。
飲み放題だからと言って何杯も飲んだのではそれこそ糖尿病まっしぐらです。
質の悪さをごまかせる技術があるのか、最近の食品には必ずと言っていいほど甘味が加えられています。食パンやペットボトルのお茶にまで入っているようです。
食事療法というときびしいイメージがありますが、そのようなことを知って、安くてお手軽だからと言って口にしない事がだけでも糖尿病の予防になることは多いのではないでしょうか。
また、カロリーゼロの表示のある飲料水には人工甘味料が使われています。中でも有名なアスパルテームは、神経細胞を壊し、認知症やうつ病、脳腫瘍をおこす可能性などさまざまな疑いが持たれています。
低GI(グリセミック・インデックス)食を心掛ける
低GI食とは食べた物が糖になりにくいか、吸収がおだやかな食材を指します。
精製小麦パンよりも全粒粉パン、全粒粉パンよりも白米、白米よりも玄米。逆に高GI食の代表が白砂糖。液糖ということです。
基本は
①最初に繊維から食べる(繊維で絡めて吸収を遅らせる)
②食事は良く噛み、ゆっくりと食べる(早食いは血糖値を上昇)
③タンパク質を中心として脂質を加える
④炭水化物はなるべく後回し
⑤糖質を控える
食事の回数を3回から5回へ分散させる
1食の摂取カロリー減らすことで、血糖値上昇のピーク値を抑えられ、膵臓への負担を減らせます。
運動による糖尿病改善効果は?
以外にもインスリンの力で血液中の糖を下げているのは30%~40%と少なく、残りはほとんどが筋肉が消費しています。これが糖尿病の人が「運動しなさい」と言われる理由です。
以前テレビで見ました。70歳~80歳くらいの元気な老人たちが20人ほど集まっていました。その場所は岡の上で、30分ほどで登ってこられる空気の良さそうな森でした。
「皆さん、なぜここに集まって来られるのですか?」
の質問に対して、老人たちの一人が答えました。
「私たちは全員、糖尿病だったのです。この丘を毎日登っているうちに数年で結局、全員治ってしまったんです! 治っても皆、続けているんです。」
糖尿病予備運と言われる人は700万人と言われています。糖尿病と言うとそれほど怖い病気に感じられませんが、
「糖尿病の方はものすごく自然治癒力が弱いので、軽い脳卒中で入院した患者さんでも風邪から肺炎で亡くなることも珍しくありませんし、虫歯から菌が全身へ行き渡り敗血症で亡くなったり、背中の毛のう炎(毛穴の中で膿むこと)から巨大な皮下膿瘍を引き起こして拳大の穴が背中に空くなどと、一度坂道を転がり始めるとそれを止める余力がないのです。」
田中佳 脳神経外科医
(田中佳さんは現役の脳神経外科医、抗加齢医学専門医であり、若い頃は長年に渡って急性期医療にも携わってきました。『健康自立力』など書籍も多数出版しています)
怖い病気である反面、毎日の小山登りを楽しくやっていただけで治っている病気でもあります。
お客さんにこんな方がいました。
Aさん(65歳男性)は金融機関を定年退職しました。退職以前から糖尿病を患っていました。とてもまじめな方で、お医者さんに言われた通り、食事制限をして、毎日のウォーキングも言われた以上にやり続けました。
ところが数値はまったく改善されません。Aさんは苛立ち、お医者さんに不信感を持っていました。
もともと食べることが大好きだったAさんは開き直って、ウォーキングの目的を 歩いた先で、大好きなラーメンを食べることに切り替えたそうです。
今では数字も改善され、ウォーキングも楽しく続けてるということです。
先ほどご紹介したストレス原因説が興味深いです。もちろん食べ過ぎ、飲み過ぎによる糖尿病の人はそれを改善しなければならないのは事実です。
しかし、過度の食事制限や、いやいやながらの運動はストレスになってしまい、逆効果です。
ストレスというのは精神的なものばかりではありません。働き過ぎ、寝不足、体の冷え、大気汚染、汚れた水、薬も身体を冷やします。動物はみな血流で身体を維持します。身体を温め、過度のストレスを見つけだし、無くすこと。
それこそが糖尿病の一番のお薬ではないでしょうか?