真夏になると救急車の出動回数が増えますね。私の住まいは、消防署の近くなのでよくわかります。おそらく熱中症で搬送される方が多くなるからでしょう。
夏バテとは、夏の暑さを受けたことによる体調不良です。
症状としては、倦怠感、食欲不振、不眠、自律神経の乱れ、夏かぜ、いろいろです。
また、自律神経が乱れれば、あらゆる症状が出ます。頭痛、吐き気、めまい、咳、鬱症状など…
こんな大変な夏にとても有難い食品があります。酢は昔から「健康に良い」と言われてきましたが、意外とそれほどの価値を感じている人は多くはないのではないでしょうか。
酢のことを知ると「日本には、これほどすばらしいものが身近にあって、なんとありがたいことか」とつくづく思います
酢って何?
農林水産省が定めた食品品質基準に基づくお酢の種類ですが、酢は大きく、醸造酢と合成酢に分かれます。
合成酢
化学的につくられた酢酸や氷酢酸を希釈して砂糖類、調味料、食塩など、あるいは醸造酒を加えて味を調整したもの。イギリスではこの合成酢は、食酢ではないとし、非醗酵性調味料といいます。
※氷酢酸とは?
化学的につくられた酢酸は、純粋なものは冬季に氷結するので氷酢酸と呼ばれる。
醸造酢
醸造酢には穀物酢と果実酢があります
穀物酢
【穀物酢】
米、大麦、小麦、酒かす、コーンなどの穀物のうち、1種類あるいは2種類以上を 1Lにつき40g以上使用して製造されたもの
【米酢】
1Lにつき米を40g以上使用して製造されたもの
【米黒酢】
米に小麦か大麦を加えたもののみを原料とし、1Lにつき180g以上の米を使用したものを さらに醗酵・熟成させて褐色または黒褐色になったもの
【大麦黒酢】
1Lにつき180g以上の大麦のみを使用したものを さらに醗酵・熟成させて褐色または黒褐色になったもの
果実酢
1種類または2種類以上の果実の搾汁を300g以上使用したもの
【りんご酢】
1Lにつき、1種類または2種類以上の果実の搾汁を300g以上使用したもの
【ぶどう酢】
1Lにつき、ぶどうの搾汁を300g以上使用したもの
※ 酢の中でも合成酢を除外して、醸造酢についてお伝えいたします。
酢の種類(代表的なもの)
穀物酢
- 小麦、米、コーンが原料
- 価格が安い
- さっぱりした味わい
- 酸味は弱めでいろいろな料理に合う
米酢
- 酸味は標準的
- サラダ、マリネなど加熱しない料理に合う。お寿司にも使われる
黒酢
- 長く醗酵されているので色が黒い
- 旨みとコクがある
- アミノ酸が多い
- アンチエイジング効果あり
リンゴ酢
- 原料がリンゴなのでミネラルが豊富
- カリウムが多いので塩分を排出
- ドレッシング、サワードリンク、マリネなどに合う
バルサミコ酢
- ぶどう果汁が原料
- 木樽で熟成
- 深みのある豊かな香りが特徴
- 煮込み料理、肉・魚料理に合う
ワインビネガー
- ぶどう果汁が原料
- 赤と白の2種類があり、赤は深い味わいで、白はさっぱりしている
もろみ酢
- 酸味が少ないのが特徴
- 沖縄の泡盛から作られる
- クエン酸が主成分でアミノ酸やビタミン豊富
香醋
- もち米を原料とした中国の酢
- 黒醋と白醋の2種類がある
黒醋 ⇒ 小龍包、餃子、フカヒレ、蟹料理に
白醋 ⇒ 食卓の調味料として
酢という名前の由来
英語のVinegarは、フランス語のVinagre(ビネーグル)が語源。
Vinaigre=Vin(ワイン)+aigre(酸っぱい)
「ワインが酸っぱくなってできた」という意味のようです。
酢が健康に良いと言われる理由
酢にはカルシウムを吸収させる働きがある
お酢に含まれる重要成分であるクエン酸には、吸収しにくいとされるミネラルと結びついて、吸収しやすくする「キレート作用」という働きがあります。
酢は減塩が必要な人の手助けをしてくれる
お酢は、料理に使うと塩味を引き立てる作用があり、塩が少量でもおいしさを引き立ててくれます。
酢による血圧の正常化の手助け
お酢は、「血圧を上昇させるホルモンを穏やかに抑制する」と言われています。
酢には疲労回復に役立つ成分が含まれる
お酢に含まれる重要成分であるクエン酸は、疲労物質と呼ばれる乳酸を分解してくれます。
酢には整腸作用があります
酢は、酸による抗菌作用により、悪玉菌を減らしてくれます。また、酢は、最古の発酵調味料と言われている醗酵食品の代表です。善玉菌が大好きな物質がたくさん分泌されているので、お酢を摂ることにより、だまっていても善玉菌が増え、腸内環境は良くなります。
酢は夏にこそ必要
高温多湿である日本の夏に対抗するために、身体は大量のエネルギーを使います。エネルギーを使うのだから、エネルギーが作られなければ身体がおかしくなるのは当然です。夏バテなどの問題はエネルギー不足なのです。
酢の成分は、酢酸、クエン酸を代表とする多くの有機酸からなります。また、良質のお酢には多くのミネラルが含まれます。
クエン酸の働き
- 食べ物のエネルギーを活動するためのエネルギーに変える
- 糖質とビタミンB1を加えれば、スタミナもアップして、疲労回復にも役立つ
ミネラルの働き
- カルシウム
- 血液凝固や筋肉収縮、神経の興奮の抑制
- ナトリウムを排泄して血圧上昇を防ぐ
- マグネシウム
- 体内のミネラルバランスをコントロールする重要な役割
- 300種類以上の酵素の働きをサポートし、エネルギーをスムーズに作り出す
- 日本人は不足ぎみ
クエン酸もミネラルもエネルギーを作り出す重要な役割を担っているのです。
しかも、ミネラルは吸収されなければ何の役にも立ちませんが、クエン酸は、ミネラルと結びついて、そのミネラルを吸収されやすい形に変えてくれます。
酢とミネラルの両方を摂取することは、私たち身体のエネルギー不足問題の重要な解決策なのです。
酢は不思議な調味料
直接飲んだり、臭いを嗅ぐと、あまりの刺激の強さに咳き込んでしまいます。匂いも決して良いとは言えないものが多いのではないでしょうか。
しかし、そのコクや味わい深さのため、料理の隠し味などにも使われるほどです。体に良く、料理をおいしくしてくれる。そんな有難いものが酢なのです。
酢が有難いものである所以は、間違いなく醗酵です。食酢として販売されている酢にもいろいろあって、醗酵させる時間がたったの数週間の酢から、3年もの間醗酵させる酢も存在します。
その醗酵の時間の長さは、酢の価値の差といって良いでしょう。大量販売目的のため、安い酢もたくさんありますが、一番コストに跳ね返ってくる発酵時間が短いものは決して安いとはいえないのではないでしょうか。
日本には自然のままで、何も添加しないで、2~3年もかけて自然醗酵させる酢も存在します。そのような酢は手間がかかっているので、決して安くはありません。しかし、その価値を考えたらむしろ安いと思います。