健康の基礎

脂質を正しく摂取しよう!知られていない脂質の3つの働きとは?

  • このエントリーをはてなブックマークに追加
  • Pocket
  • LINEで送る

以前、ダイエットには無縁のガリガリに痩せた女性に「俺の脂肪、○○さんに少しあげられればいいのにね。」
痩せた女性ダイエットが必要な私が言ったことがあります。

無情にも「お断りします!」と返ってきました。「全部あげる」と言った訳ではないのに…。私の脂肪(脂質)だから? いや、それだけ女性は脂肪(脂質)が嫌いなのでしょう。

本当に脂肪(脂質)はそんなに嫌ったり、悪者扱いすべきものなのでしょうか?
また、ダイエットの敵なのでしょうか…。
そうでもないようです。脂質は人間が生きる上で大切なものであることがどんどんわかってきています。

成人病など原因と考えられていたコレステロールは、善玉コレステロール(HDL)と悪玉コレステロールがあると言われ、今ではそれよりも進んで、「コレステロールに善玉も悪玉もない」という考えも出てきています。

脂質のことをもっと知って、もっと詳しくなることは生きる上で大切です。脂質にはどんなものがあり、それは人間の身体にとってどんな働きをするのかを解りやすく説明します。

1.脂質とは?

脂質とは、水に溶けず、有機媒体に溶ける物質をいいます。有機媒体とはエーテルやクロロホルムという物質です。栄養学では脂肪を脂質と呼んでいます。

主に脂質の働きには次の3つがあります。脂肪

  • エネルギー源になる
  • 体の一部になる
  • 脂溶性ビタミンの吸収を助ける

エネルギー源になる

脂質は体内に吸収されると代謝され1g当たり9kcal のエネルギーを作り出します。糖質やタンパク質が1g当たり4kcalであるのに対して倍以上のエネルギーを作り出してくれます。
余分な脂質は体脂肪として蓄えられます。何か起こって、何も食べられないことがあっても数日は生きていけます。体脂肪はそんなに毛嫌いするものではないのですね。

体の一部になる

細胞膜や核酸、神経組織などの構成成分になります。細胞膜がしっかりしていなかったり、神経組織が成り立たなければ人間は生きていけません。

脂溶性ビタミンの吸収を助ける

脂溶性ビタミン脂溶性ビタミンは水には溶けないので脂質がなければ吸収できません。
脂溶性ビタミンとは水に溶けにくく、アルコールや油脂に溶ける性質を持つビタミンで、ビタミンA・D・K・Eがこれに当たります。

2.脂質は化学構造上3つに分類される

脂質は化学の構造上の特徴から次の三つに分類されます。

  • 単純脂質
  • 複合脂質
  • 誘導脂質

単純脂質

糖やアルコールが体内で代謝され、グリセロールができます。そのグリセロールに三つの脂肪酸が結合したものが単純脂質です。単純脂質はトリグリセリドといい中性脂肪です。
この中性脂肪(単純脂質)は皮下や内臓周辺に蓄えられ、必要に応じて脂肪酸に分解されエネルギー源として利用されます。また、中性脂肪は熱伝導率が低いので体温を維持する事にも役立ちます。
もう一つ、弾力性があるのでクッションとして内臓を守る働きもあるのです。

複合脂質

複合脂質とは、上記の単純脂質にリン酸、糖質が結合したものです。単純脂質にリン酸が結合したものがリン脂質で、糖が結合したものが糖脂質です。
エネルギーにはなりませんが、タンパク質と結合して細胞膜を形成するなど、身体組織の構成成分として重要な働きをします。

誘導脂質

誘導脂質とはステロール類で、体内に存在するステロール類の多くはコレステロールです。
コレステロールとはステロイド核を持っている化合物で、身体の中ではこのステロイド核をベースにさまざまな物質が作られるようです。
コレステロールは細胞膜の構成成分として、また、生ホルモン、副腎皮質ホルモン、胆汁酸、ビタミンDの前駆体の原料として重要な働きがあります。

副腎皮質ホルモンは、合成薬としていろいろな病気に使用されています。「ステロイド」といって、アトピー性皮膚炎や喘息の吸入薬などでよく聞きますよね。それほど重要なホルモンもステロイドから作られているということです。ステロイド薬

3.善玉コレステロールと悪玉コレステロール

コレステロールはリン脂質やタンパク質といっしょに親水性のリポタンパク質をつくり血液中にも存在し、これは次の四つに分類されます。

カイロミクロン

おもに中性脂肪を脂肪組織に運ぶ

VLDL

肝臓で合成された脂質を組織や筋肉に運ぶ

LDL(エルディーエル)

コレステロールを肝臓から抹消組織へ運ぶ

HDL(エッチディーエル)

コレステロールを肝臓へ運ぶ

LDLコレステロール、HDLコレステロールはご存知の方も多いのではないでしょうか?健康診断の表にも記載されています。

血液中のLDLコレステロール値が過剰になると血管壁に入り込んで酸化したコレステロールが血管を弱らせ動脈硬化を起こし、さらに動脈を狭くしてしまうので心筋梗塞や狭心症などの心疾患、また脳血管疾患の可能性も高めます。

コレステロールまた、血液中のHDLコレステロール値が低すぎると、免疫が低下したり、血管や細胞膜が弱くなり、脳出血や癌を起こしやすくなることも知られています。

このように「LDLは悪玉コレステロールで、HDLは善玉コレステロールである」と言われていますが、最近では、酸化したコレステロールが問題なのであって、
「LDLコレステロールもHDLコレステロールも必要で、どちらも大切な脂質である」という考えも出てきているようです。

日本の栄養学は世界と比べて遅れていると言われています。遅れているというよりも、特に日本ではあまり重要視してこなかったようです。

2015年版の食事摂取基準では、コレステロールの目標量は示されていません。「食事からのコレステロールの摂取量は低めに抑えることが望ましい」されていますが、具体的に目標値を設定するほどの科学的根拠は得られていないからです。

もともと、人の身体は、すべて食べる物からできています。栄養学が重要視されていないというのはおかしな話ですね。

栄養学が遅れていた分、最近では常識がどんどん変わってきています。例えば、「牛乳を飲んでも骨は強くならない!」など…。
私達にとって最も大切なことは健康です。自分の健康を守るため、栄養の重要な一つである脂質(脂肪)を知ることは大切なことではないでしょうか?

  • このエントリーをはてなブックマークに追加
  • Pocket
  • LINEで送る

SNSでもご購読できます。