肝臓は沈黙の臓器と言われ、症状が出てからでは手遅れなどと言われます。
肝臓という臓器を知らない人は少ないと思いますが、肝臓がどんな働きをするのかを知っている人は意外と少ないのではないでしょうか?
コンテンツ
大切な肝臓の働き
栄養分を代謝する働き
肝臓では、糖、脂質、たんぱく質の3大栄養素の代謝が行われる。
代謝にはビタミンのサポートが欠かせないがビタミンの代謝も肝臓で行われる。
解毒する働き
肝臓は、私たちの身体にとって有害な物質を無害な物質に変換します。例えば、たんぱく質を分解する時に発生するアンモニアを人体に無害な尿素に変えて排出します。
胆汁を分泌する働き
胆汁の生成も脂質代謝の1つで、胆汁は、脂肪をミセル化(水に溶けやすい非常に小さい分子にする)して効率よく吸収します。
肝機能の低下
肝機能が低下すると、疲労感や倦怠感が現れます。
慢性肝炎
6か月以上持続していると慢性肝炎と診断されます。肝硬変や肝臓がんに進行する場合があります。
急性肝炎
短期的に肝臓に炎症が起こる疾患で、この急性肝炎になってしまった人の1~2%の人が劇症肝炎(急性肝不全)になってしまうということです。
(症状)
- 発熱、喉の痛み、頭痛など風邪のような症状
- 食欲不振
- 倦怠感
- 吐き気
- 腹痛
- 発疹
- 皮膚、白目が黄色くなる
- 尿が茶色くなる
劇症肝炎
肝臓の機能が急激に低下し、意識障害などの重篤な症状が現れる
原因
・ウイルス感染
・アルコール飲料の飲み過ぎ
アルコールは、肝臓で解毒されるため、飲み過ぎると、肝臓に負担がかかります。一日のアルコール許容量は、純アルコール量で、22g程度(日本酒なら1合、ビールなら大びん1本、焼酎なら0.6合)症状が出たら禁酒しなければいけません。
・脂肪肝(肥満)
肥満によって体脂肪が増えると、それに伴い肝臓に脂肪がたまります。糖尿病により代謝が悪くなった場合も脂肪が溜まり易く、脂肪肝になりやすい。
・薬物
近年、一人当たりの薬を服用する量は、どんどん増えています。病院で出される薬袋は数十年前と比べると、とんでもなくなく大きくなっていませんか?
薬は天然のものではなく、人工的なものです。肝臓は毒物として解毒しようとします。
・食品添加物
最近では、スーパーなどで販売されている手軽に食べられる加工食品には、多くの場合、添加物が使われています。これらに対しても肝臓は、一生懸命解毒します。
東洋医学における肝臓というもの
肝臓の働き
東洋医学では、肝(かん)は、気(き)や血(けつ)の働きにかかわる臓器で、疏泄(そせつ)と蔵血(ぞうけつ)という機能があります。疏泄は、全身の気の動きコントロールする機能です。疏泄がよければ、気の動きがスムーズになるので、血の巡りや脾や胃の消化吸収も良くなります。蔵血は、血を貯蔵し、身体のどこにどのくらい送るのかを決める機能です。
気(き)、血(けつ)とは?
人体の生命活動を維持するには、気・血・津液・精の4つの基本要素が「あると考えます。4つの要素がしっかり生成され、体内をバランスよく循環することで、臓器や組織が正しく働き、正気(せいき)が充実して病気にかかりにくくなるとされています。
正気(せいき)とは?
病気になる過程を正気と邪気(じゃき)の闘いととらえます。正気とは体内の機能を正常に保ち、病気になっても回復できる能力のことをいいます。
肝が変調すると?
肝が変調すると、まず疏泄と蔵血の機能が影響を受けます。疏泄が動かないと、気が正常に循環せず、気に押されて動いている血と津液(しんえき)も動かなくなり、お血(おけつ)や痰(たん)が生じます。
蔵血ができなくなると、肝から血があふれて皮下出血を起こすこともあります。血が不足して機能しなくなる部位もでてきます。
肝は、判断力や計画などの精神活動にもかかわるとされています。優柔不断で、良いアイデアが出ない状態が続いている時は、肝が変調しているのかもしれません。
津液(しんえき)とは?
津液の変調には、津液の不足と停滞があります。
不足 ⇒ 全身が乾いてきて、肌や髪がかさかさしてくる。口の中や喉が乾くため声を出しにくくなる。
停滞 ⇒ 津波の流れが体のどこかで滞ると、ねっとりした湿になる。湿ができると、むくみができるとされる。湿が増えて集まって、粘りが出たものを痰という。痰が肺や喉にあると、せきなどの呼吸器の症状が出る。
肝腎要(かんじんかなめ)という言葉がありますが、肝臓も腎臓も重要で身体の要であると言っているのでしょう。肝臓のことを少しでも知っておくことは、健康上とても大切なことです。