「私たちの身体は、食べ物の化身ということです」
森下敬一医学博士
私たちにとって、当たり前に食卓に上がる食品はそれぞれすばらしい薬効があり、それらを知って活用すれば健康で長生きが出来るということです。
もやしとは?
『もやし』とは本来、穀類、野菜、豆類の種子を水に浸し、日光を遮断して人工的に発芽させた新芽野菜(スプラウト)のことです。最近では豆類を発芽させた豆もやしが主流になっています。
大豆もやし
軸は太く短かく、豆の風味や歯ごたえがあります。豆がきれいな淡黄色でプリっとしていて軸が太くてしっかりしたものが良いそうです。
主な栄養素は、ビタミンB1,ビタミンB2、カリウム、カルシウム、食物繊維で、ほとんどの成分は豆の部分より、ヒゲが勝っているようでヒゲも一緒に食べると良いと言われています。
また、グルタミン酸などのうま味成分や、アスパラギン酸などの疲労回復に効果のある成分も含んでいます。
多くは輸入品ですが、昔ながらの方法で作られる青森県大鰐町(おおわにまち)の『大鰐温泉もやし』や山形県米沢市の『小野川豆もやし』もあります。
ビタミンB1
ビタミンB1は糖質がエネルギーに変わる時に必要な栄養素です。摂取エネルギーの大半を米などの糖質から摂っている日本人にはとても大切な栄養素です。
B1が不足すると、糖質の代謝がうまく行かず、その結果、乳酸やピルビン酸などが蓄積し、疲労、筋肉痛の原因になります。
また、ビタミンB1には脳の中枢神経や手足の末梢神経の働きを正常に保つ働きがあります。不足すると、手足のしびれや反射神経の異常などの症状が現れます。
ビタミンB2
ビタミンB2は、糖質、脂質、タンパク質をエネルギーに変換する時に補酵素として使われる栄養素です。運動や仕事などでエネルギーを多く消費する人ほどB2は必要です。
ビタミンB12は、『発育のビタミン』とも呼ばれ、皮膚、髪、爪などの細胞の再生にも関わっています。また、グルタチオン・ペルオキシターゼという酵素と働いて有害な過酸化脂質を分解してくれます。
カリウム
体内で多くのカリウムは、細胞内に含まれていて、細胞外液のナトリウムと作用し合いながら細胞の浸透圧を維持したり、水分を保持したりします。
カリウムにはナトリウムを排泄する働きがあり、血圧を下げる働きがあることから高血圧予防に有効であると考えられています。
カルシウム
骨の中では、新しい骨をつくる『骨形成』と古くなった骨をこわす『骨吸収』が繰り返されていて、カルシウムはこの活発な骨代謝に関与しています。
血液凝固や筋肉収縮、神経の興奮の抑制などの働きがあります。また、細胞内外のカルシウム濃度の差を利用して、細胞の機能の調節を行ったり、ナトリウムを排泄して血圧上昇を防ぐ働きをしています。
食物繊維
水に溶ける水溶性食物繊維と、水に溶けない不溶性食物繊維に分類されます。
水溶性食物繊維は、糖質や脂質の腸内からの吸収を妨げ、血糖や血清コレステロールの上昇を抑え、糖尿病や脂質異常症を予防効果が期待されています。
緑豆(りょくとう)もやし
太くて、くせがなく、最も流通量が多いもやしで、ラーメンなどに使われています。軸が白く、張りのあるものが良いそうです。
黒豆もやし
ケツルアズキとも呼ばれます。豆の皮が黒く、軸が細いのが特徴です。水分が少ないため炒めてもしんなりしないのでシャキッとした食感の良いもやしです。軸が綺麗な白であるものが良い黒豆もやしだということです。
ビタミンCが豆もやしの中で一番多いようです。
ビタミンC
ビタミンCは、皮膚、腱、軟骨などを構成するコラーゲンの合成に不可欠なビタミンです。コラーゲンは皮膚や骨を強化するのでビタミンCは、皮膚や骨の健康を維持したり、修復するために重要です。
また、ビタミンCは、抗ストレス作用を持つ副腎皮質ホルモンの合成を促進したり、腸からの鉄の吸収率を高める働きをします。
豆苗(とうみょう)
ビタミンB、ビタミンCが豊富に含まれます。βカロテンは、ほうれん草よりも多く、体内でビタミンAに変換され、髪や視力の健康維持、粘膜や皮膚、呼吸器系統を守り、また、ガンや動脈硬化の予防効果があるとされています。
また、ビタミンK、葉酸も豊富です。
葉酸
葉酸は、ビタミン12とともに赤血球を正常につくり出すために必要で『造血のビタミン』とも言われています。
また、細胞増殖が盛んな胎児が正常に発育するために特に重要なビタミンです。
ビタミンK
ビタミンKには、ケガや内出血した時に止血をする大切な働きがあります。
また、骨づくりに必要なタンパク質を活性化する働きがあり、丈夫な骨をつくるために重要なビタミンです。
カイワレ大根
ビタミンC、ビタミンK、鉄、食物繊維などが豊富です。また、免疫を高めてくれるメラトニンも含まれています。
カイワレだ大根の辛味は、イソチオシアネートといい、解毒作用、抗菌作用、抗酸化作用があると言われています。
鉄
鉄は赤血球のヘモグロビンや筋肉中のミオグロビンというタンパク質の構成成分になっていて、肺から取り込んだ酸素を全身の組織に供給する大事な役割をしています。
また、鉄を含む酵素は、エネルギー代謝において重要な役割をしています。
アルファルファ
特にビタミンK、葉酸などのビタミンやミネラルが豊富に含まれています。
ブロッコリー
ブロッコリーには、フィトケミカルの一種であるスルフォラファンが含まれています。スプラウトにすることで20倍以上に濃縮されます。
酵素を摂るということで、スプラウトをサラダの食材の一つとして生で食べるのが一番効果的です。
スルフォラファン
体内の解毒酵素や抗酸化酵素の力を高め、摂取しているビタミン類などの力も高めて発ガン物質を無毒化して、体外に排出してくれます。
モヤシは、低カロリーであることが大きな特徴になりますが、大豆もやしは特にビタミンB1を多く含み、糖質の摂り過ぎが気になっている方には有効です。また、ビタミンB2も多く含み、これは脂質の代謝に働きます。肥満の予防にはもってこいの食材です。