梅雨も終わり、朝からどんどん気温が上昇しています。
すると、必ずニュースは「熱中症で○○人が病院に搬送されました」と報道。搬送人数も増えてゆきます。
熱中症の一番の大きな原因は「ミネラル不足」です。
今回はそのミネラルについてご紹介させていただきます。
ミネラルとは?
特徴
地球上の元素(約100種類)のうち、水素・炭素・窒素・酸素を除いたものをミネラルといいます。
これらの中で、人間の身体に栄養素として不可欠なものは「必須ミネラル」と呼ばれ、現在16種類が知られています。
主な働き
- 骨・歯など体の構成成分になる
- 体液に溶けてPH浸透圧を調節する
- 酵素の構成成分になる
- 神経・筋肉の興奮性の調節をする
ミネラルは体内で合成できないため、食事から摂とらなければなりません。不足すると、鉄欠乏性貧血、ヨウ素不足による甲状腺腫など、さまざまな不調が現れます。
また、不足した場合だけではなく、過剰に摂りすぎた場合にも問題が起こります。
ミネラルの摂り過ぎは過剰症を引き起こし、鉄や亜鉛などの摂り過ぎは中毒を起こします。そして、ナトリウムの摂り過ぎは高血圧症など生活習慣病とも深い関わりがあります。
必須ミネラルの種類と主な働き
必須ミネラルは、大きく「多量元素」と「微量元素」に分類されます。
多量元素
- カルシウム…骨や歯を形成、神経の興奮を抑える
- リン…骨や歯を形成、リン脂質や核酸の成分、糖質の代謝をサポート
- カリウム…細胞内液の浸透圧の維持、心臓や筋肉の機能を調節
- イオウ…皮膚や髪、爪を形成、酵素の活性化
- ナトリウム…細胞外液の浸透圧の維持、心臓や筋肉の機能を調節
- 塩素…胃液の成分、殺菌
- マグネシウム…酵素の活性化、神経の興奮を抑制
微量元素
- 鉄…赤血球のヘモグロビンの成分亜鉛…タンパク質の合成に関与
- 銅…赤血球のヘモグロビンの合成に関与
- ヨウ素…発育を促進、基礎代謝の促進
- セレン…抗酸化、がん予防
- マンガン…糖質や脂質の代謝に関与、骨形成に関与
- モリブデン…尿酸をつくり出す代謝に関与
- クロム…糖質や脂質の代謝に関与
- コバルト…ビタミンB12の成分、造血作用に不可欠
代表的なミネラル
ミネラルとして代表的なものは、次の3つです。
- カルシウム
- カリウム
- マグネシウム
カルシウム
特徴 
- 元素記号…Ca
- 体内に最も多く存在するミネラルで、体重の1~2%を占め、その99%は骨や歯に存在している
- 骨の中で繰り返される骨代謝(新しい骨をつくる「骨形成」と古くなった骨をこわす「骨吸収」が繰り返される)に最も関与している
- 骨や歯以外のカルシウムは、血液や筋肉、すべての細胞に分布している
- 血液凝固や筋肉収縮、神経の興奮を抑制する
- 細胞内外のカルシウム濃度の差を利用して、細胞の機能調節を行ったり、ナトリウムを排泄して血圧上昇を防ぐ
カルシウムが不足するとどうなる? 
- 骨量が減少し、骨折や骨粗しょう症を起こす可能性が高くなる
- 特に閉経後の女性においてはホルモンの影響で骨量が減少しやすくなる
- 肩こり、腰痛を引き起こす
- イライラするといった神経過敏な状態になる
カルシウムを摂り過ぎるとどうなる?
- 泌尿器系結石を起こす
- 鉄、亜鉛、マグネシウムなど他のミネラルの吸収を阻害する
カルシウムの吸収を促進するものは?
- ビタミンD
- クエン酸
カルシウムの吸収を阻害するものは?
- シュウ酸(ほうれん草などに多いが、ゆでれば減少)
- フィチン酸(豆、穀類に多い)
- 過剰のリン(添加物に多い)
- 過剰の食物繊維(サプリメントによる摂り過ぎに注意)
カルシウムを多く含む食品
- 干しエビ…大さじ一杯で568mg
- 水菜…150gで315mg
- 生揚げ…2分の1枚で240mg など
カリウム
特徴
- 元素記号…K
- 体内に含まれるカリウムの量は体重の約0.2% 多くは細胞内に含まれ、細胞外液のナトリウムと作用して、細胞内の浸透圧を維持したり、水分を保持する
- 細胞内の酵素反応を調節する働きがあり、エネルギー代謝をスムーズに行わせ、細胞が正常に活動する環境づくりを行う
- ナトリウムが腎臓で再吸収されるのを抑制し、尿への排泄を促す働きがあることから、高血圧予防に有効と考えられている
カリウムが不足するとどうなる?
脱力感や食欲不振といった欠乏状態が現れる(下痢や嘔吐、あるいは利尿剤を長く服用し、カリウム排泄量が増えると起きる)
カリウムを摂り過ぎるとどうなる?
高カリウム血症を起こす(腎臓の機能が低下し、尿の排泄が困難になると起きる)
カリウムの上手な摂り方
カリウムは植物性食品から動物性食品までいろいろな食品に含まれていますが、調理法によって30%ほど損失してしまうと言われています。みそ汁やスープなど煮汁ごと食べられる料理にするとよいでしょう。
また、カリウムにはナトリウムを排泄する働きがあります。カリウム1に対してナトリウム2以下、という摂取比率は血圧を下げる効果が期待できるでしょう。
お味噌汁はナトリウムが多く塩っ辛いです。そこにワカメを入れるのもカリウムの働きを期待しているのかもしれません。
カリウムを多く含む食品は?
- 刻みこんぶ…10gで820マイクログラム
- 大豆…30gで570マイクログラム
- アボガド…70gで504マイクログラム など
マグネシウム
特徴
- 元素記号…Mg
- 体内に20~25g含まれ(成人の場合)、その60~65%は骨に含まれていいる
- 人の骨を構成する重要な成分である
- 残りの35%~40%は肝臓、筋肉、血液などにタンパク質と結合して存在し、また、細胞内にも含まれ、体内のミネラルバランスをコントロールする
- 300種類以上もの酵素の働きをサポートしている
- エネルギー生産をスムーズに行う重要な働きがある
- 神経の興奮を抑える作用がある
- 血管を広げて血圧を下げる作用がある
マグネシウムが不足するとどうなる?
不整脈を起こし、虚血性心疾患のリスクが高まる
マグネシウムが過剰になるとどうなる?
下剤にも使われているミネラルなので、サプリメントなどで摂り過ぎると下痢を引き起こすことがある
(通常の食事では、摂り過ぎた場合は腸管からの吸収が調節されるため大丈夫)。
マグネシウム摂取における注意点は?
- 日本人はマグネシウムが不足ぎみ
- カルシウムを摂るほどマグネシウムの排泄量が増える
- マグネシウムは加工食品にはあまり含まれていない
マグネシウムを多く含む食品は?
- アーモンド…30gで93mg
- カシューナッツ…30gで72mg
- 大豆…30gで66mg など
ミネラル不足を解消し、健康でいるための方法
- ミネラル豊富な天然水を飲む
- なるべく農薬や化学肥料を使っていない野菜や果物を食べる
- 自身の腸内環境を良くする
ミネラル豊富な天然水を飲む
天然のお水にはミネラルがたくさん含まれています。
雨は山に染み込み、長い年月を経て、場合によっては何百年にも渡って岩盤を通り抜け、長い年月をかけて浄化され、ミネラルをたくさん含んだ水は川に流れ込みます。
そんな天然水が理想ですが、市販されている天然水には、濾過した水に精製したミネラルを加えたものが多く存在します。
「海水と人間の体液のミネラルバランスが同じである」というように、自然のお水は生き物にとって最良のミネラルバランスをつくり出します。
ただし、人工的に抽出したミネラル水が人の身体に適合するかどうかは疑問です。
水博士(みずはかせ)の異名を持つ松下和弘理学博士が「ミネラルウォーター完全ガイド」という書籍を出し、市販されているあらゆるミネラルウォーターの判定をしています。
松下和弘さんは「カラダに良い水・脳に良い水」の条件を3つ示しています。その3つとは、
①油脂分を溶かす界面活性力が高い水
②酵素活性が高い水
③水分子クラスターの小さい水
ということです。
なるべく農薬や化学肥料を使っていない野菜や果物を食べる
土から栄養分を摂る植物は、ミネラルをたくさん含んでいます。
ただ、最近は農薬や化学肥料が使われるため、「ミネラルなどの栄養は3分の1以下になっている」と言われています。
こういった野菜などは、そのもの自体の生命力が弱いのか、悪くなるのもとても速いんです。化学肥料のチカラで見事に育った野菜がアッと言う間にくさり、見かけ倒しだという事が分かります。
微生物が豊かな土地で育った果物・野菜は、健康を願う者にとって宝物です。
自身の腸内環境を良くする
せっかく大切な栄養を体に入れても吸収されなければ意味がありません。腸内環境が善玉菌優位な状態であれば、食べた物は細かく分解され、吸収されやすくなります。
今から30~40年前は、それほど熱中症で倒れる人がいたでしょうか?
それとも熱中症というものが分かっていなかっただけなのでしょうか?
人の身体には100兆個の微生物が共生すると言われています。すべての微生物が死滅したら、人の命も一瞬で終わるそうです。
野菜や果物が育つ土壌は、農薬や化学肥料の影響で微生物はほとんど壊滅し、人間の腸内も、薬の多用や添加物により微生物は壊滅状態です。
どんどん増えている熱中症も、人類が生み出す化学物質の影響が大いにあるのではないのでしょうか?
人間は自然に勝つことはできません。自然と共生すべきなのです。