人間は、年齢が同じくらいでも外見では分からないものです。歳よりも老けている人もいれば、年寄りも若い人もいます。外見の若さと本当の肉体の若さとが必ずしも一致するとは限りませんが、「いつまでも、若い身体でありたい」という気持ちはどなたにも共通なのではないでしょうか。
その老化の原因として『糖化』が大きく関わっていることが、ますます言われてきています。
八木雅之先生(同志社大学 生命医科学部 / 糖化ストレス研究センター教授)
は、糖化ストレス抑制対策・抗糖化素材の研究、アンチエイジングや疾病予防としての抗糖化に関する普及啓発活動などを進めています。
…糖化とは、体内の余った糖がタンパク質とくっついて、AGEs(エイジーイーズ)という老化の原因物質になってしまうことを言います。糖化によって引き起こされるのは、まず『老化』。分かりやすいのが肌の老化、シミ、シワ、くすみが増えてきます。それがさらに進むと糖尿病になり、骨粗しょう症になり、動脈硬化のリスクも高まります。
極端に言えば、確実に糖化を防げれば、高齢になっても元気で過ごせて、国民の医療費は減り、若者の不妊も解消され、少子化も解消でき、認知症の増加にも歯止めをかけられるかもしれないのです。…
糖化防止が、老化を遅らせることや健康な身体を維持するためには、とても重要です。
糖化を防ぐには
・毎食2時間かけてゆっくり食事を摂る
毎食2時間かけるというのはむずかしいですが、私のように数分で食べてしまうというのは論外だそうです。
・甘いものを食べ過ぎない
人間にとって甘いものは中毒になりやすいものです。
・たばこ、お酒を控える
日本酒にも糖化を抑える成分が少し入っているようですが、アルコールの代謝物として、AGEs(エイジーイーズ)を作りやすいアセトアルデヒドもできてしまいます。
・睡眠不足にならない
ストレスや睡眠不足は、AGEsを増やす大きな要因です。
・運動をしないのに利用効率の良いおにぎりなどの糖質を摂らない
マラソン選手は走る前に、すぐにエネルギーに変えられる糖質を大量に摂取するそうです。
奇跡の食材 黒ガリンガル
八木雅之先生は、AGEsの生成や蓄積をどう防ぐかを研究されています。
…これまでは適切にAGEsの生成や蓄積を防ぐ効果を発揮するものがありませんでした。それが今、黒ガリンガルであったことが分かり始めています。…
黒ガリンガルとは?
東南アジアでも一部の限られた気候と土壌でしか栽培できない幻の植物であり、この山岳地域に暮らす民族は、黒ガリンガルのことを「山の神様の贈り物」と呼んでいます。
タイ王室では、1200年も前から伝統生薬として黒ガリンガルが重宝されており、新しい大様が即位すると、大様の健康と子孫繁栄を願い、黒ガリンガルをたべさせていたということがアンコール王朝時代の文献に記載されています。
また、黒ガリンガルの原産地である山岳民族の平均寿命は、約90歳で、もちろん介護無しで大変元気だということです。
黒ガリンガルの三つの効果
①グルコーススパイク(食後過血糖)を防ぐ効果
健康な人でも食事を摂れば血糖値は上がります。健康な状態であれば、血糖の上昇を膵臓が感知し、インスリンが分泌されます。インスリンによって血中の糖は細胞に取り込まれ、血糖値は下がって行きます。
身体はこれを繰り返しているのですが、血糖値が極端に上昇してしまうと体内で糖とタンパク質が結合し、糖化が進んでしまいます。この「グルコーススパイク」をいかに防ぐかが抗糖化の鍵になるようです。
グルコーススパイクが起きると、具体的にはどんな不調が起きるかというと、まず糖尿病になりやすくなります。もう一つは、糖化反応中間体でもある「アルデヒド」という物質が生成され、血管の内側にある内皮細胞を攻撃にいく性質を持っているということです。
グルコーススパイクのような1日に何度も起きる短期の影響は、健康診断の血液検査では、なかなか発見されません。そのため、知らないうちに体の糖化が進み、気付いた時には心筋梗塞や認知症などに至ってしまいます。
②糖化によって体内に生成されるAGEsをできにくくする効果(糖化反応抑制作用)
③できてしまったAGEsを分解する効果(AGEs分解排泄作用)
糖化反応を抑制する素材はいくつかあるのですが、AGEsの分解作用が認められている素材は極めて少ないそうです。
黒ガリンガルの興味深い作用
黒ガリンガルと糖尿病薬で、食後の血糖値上昇を防ぐ作用比較においてです。試験管実験で比較すると、「黒ガリンガルに血糖値を下げる効果はあるが、糖尿病薬ほど強い効果はない」という結果になりました。
しかし、実際に人が摂取する臨床試験を実施してみるときちんと効果が表れました。
ご飯を食べる前に黒ガリンガルを摂取した臨床試験では、食後の血糖値が上がりやすい人達で、食後の血糖値が下がったということです。
黒ガリンガルは、水溶性と脂溶性の成分を両方持ち合わせている
例えば、脳内に物質を届けようとすると、脳内には血液脳関門というのがあって、どんな物質でも入れるわけではありません。
黒ガリンガルは、水溶性と脂溶性の成分を両方持ち合わせている非常に珍しい素材なのだそうです。体中どこでも糖化を防ぐには、水に溶けやすい物質と水に溶けにくい物質が必要です。
脳に抗糖化物質が届くことで期待できる効果は、認知症対策です。認知症の60%はアルツハイマー型認知症で、昔からアルツハイマーは「脳の糖尿病」と言われてきました。
最近の研究で、アルツハイマー型認知症の方の脳内には、健康な人と比べて3倍のAGEsが溜まっていることが分かっているそうです。
私達の健康や美容や老化の問題に、糖化というものが関わっていることが分かってきました。例えば、お菓子、ご飯、麺類、うどんなど糖質の多い食品がいつでも簡単に食べられることが、早い老化の原因になっているかもしれません。
糖質ダイエットなども最近流行っています。しかし、糖は人間にとって大切なエネルギーです。脳においては、ブドウ糖しかエネルギーとされません。
糖質を控えることももちろん大切ですが、生活習慣を改めたり、食事として抗糖化食品を多く摂ったり、時には、良いサプリメントなどで対策をとるなどして、体内の糖化を防ぐことが、私達の健康寿命を大きく伸ばすことなのではないでしょうか。