高血圧の原因は、「塩分の摂り過ぎ」という考えが世界的にも一般的ですよね。『健康=減塩』と言ってもいいくらい多くの情報が流れています。
しかし、「高血圧は必ずしも塩分の摂取が問題ではない」という考え方もあります。
本当のところはどうなのか?食事で塩分を控えるのは、結構つらいものです。とは言っても高血圧が、私達の身体に負担をかけることは間違いありません。
「減塩すれば、高血圧は必ず解消する」というのであれば、減塩も仕方ありません。でもそうでないとしたら…。
『高血圧の一番の原因が塩分である』というのは本当なのか、調べてみました。
コンテンツ
減塩と高血圧の関係
血圧があがる仕組み
水は濃度の低い方から高い方へ移動して、両側の濃度差をなくそうとします。細胞はイオンの通過は制限していますが、水は比較的自由に通します。その細胞膜挟む両側の水を引き留めるか、又は引き寄せるかを浸透圧といいます。
血液に溶けているミネラルの割合は、塩(NaCl)が大部分を占めています。ですから血液の浸透圧を決めているのは主に塩(NaCl)ということになります。
塩分を摂取すると、血清ナトリウム濃度が上昇、そしてその情報はすぐに脳の中枢に伝わります。すると、喉の渇きを起こして、水を飲むように命令します。
それと同時に脳の中枢は、抗利尿ホルモンを分泌して、尿の量を減らす命令も出します。
このように体液量を増やして、血清ナトリウムを元に戻そうとします。つまり、塩を摂取すると、血清ナトリウム濃度が上がるのではなく、体液量が増えるということになります。
体液量が増えると、心臓が送り出す血液の量も増えて、血圧が上がります。
これが血圧が上がるしくみです。
塩とナトリウム
私たちが、食塩(食卓塩)と呼んでいる塩は、塩化ナトリウム純度99.5%の精製塩です。ほとんど、他のミネラルが取り除かれた天然塩とはまったく違うものになっています。
海水を電気分解してナトリウムイオンを抽出して、濃い塩水をつくり、それを煮詰めて塩の結晶をつくります。
精製塩(食塩・食卓塩)と天然塩との違い
天然塩とは塩田などで、自然に濃縮する製法で作られた塩で、塩化ナトリウムだけではなく他のミネラル(マグネシウム、カリウム、カルシウムなど)が多く含まれています。
以前流行った塩麹に使われる塩は天然塩です。精製塩では麹が発酵することができないため塩麹は作れないのです。
カリウムの体内での働きは?
・浸透圧の維持
カリウムの多くは細胞内に含まれていて、細胞外液に多いナトリウムと作用し合いながら、細胞の浸透圧を維持したり、水分保持をします。
・高血圧症の進行を抑える
カリウムは、ナトリウムが腎臓で再吸収されるのを抑制し、尿への排泄を促す働きがあることから、血圧を下げる作用があるとして高血圧予防に有効と考えられています。
ナトリウム食事摂取基準(食塩相当量)
年齢等 | 目標量 ※は目安 | |
---|---|---|
量 | ||
男 | 女 | |
0~5(月) | ※100(0.3) | ※100(0.3) |
6~11(月) | ※600(1.5) | ※600(1.5) |
1~2(歳) | (3.0未満) | (3.5未満) |
3~5(歳) | (4.0未満) | (4.5未満) |
6~7(歳) | (5.0未満) | (5.5未満) |
8~9(歳) | (5.5未満) | (6.0未満) |
10~11(歳) | (6.5未満) | (7.0未満) |
12~14(歳) | (8.0未満) | (7.0未満) |
15~17(歳) | (8.0未満) | (7.0未満) |
18~29(歳) | (8.0未満) | (7.0未満) |
30~49(歳) | (8.0未満) | (7.0未満) |
50~69(歳) | (8.0未満) | (7.0未満) |
70以上(歳) | (8.0未満) | (7.0未満) |
出典:栄養の基本がわかる図解事典 成美堂出版
食塩を多く含む食品
1食当たり目安量 | 含有量(g) |
---|---|
インスタントラーメン 100g | 6.4 |
カップ麺 75g | 5.2 |
イワシ丸干し 80g | 3.3 |
梅干し 1個(20g) | 4.4 |
さきイカ 50g | 3.5 |
からし明太子 1/2(40g) | 2.2 |
淡色辛味噌 大さじ1(18g) | 2.2 |
イカ塩辛 30g | 2.1 |
カレールウ 20g | 2.1 |
塩こんぶ 10g | 1.8 |
調味料をはじめとする加工食品に含まれている
出典:栄養の基本がわかる図解事典 成美堂出版
減塩は本当に必要なの?
お客様に80歳とは思えない元気な女性がいます。その方はもともと身体が丈夫ではなかったそうで、食事などに気を使っています。先日、お話する機会がありました。
「いつもお元気で、お若いですね!」
「元気そうに見えるのでしょうけど、そうでもないのよ。この前なんか、目まいがして仕方ないから病院に行ってきたの」
「どこか悪かったのですか?」
「低ナトリウム血症だって」
その人は、健康おたくで、「塩分が身体に良くない」と聞いて、減塩というより、ほとんど塩分を摂らないようです。その方のご家族からも「減塩!減塩!ってうるさくて困るよ」と聞いたことがあります。
食塩とは、ナトリウムイオンと塩素イオンが結合した『塩化ナトリウム』のことを言います。
ナトリウムは、細胞外液の浸透圧を維持したり、血液循環の量をコントロールするなど、生命にとって重要な役割をしていて、それがなければ、人間は生きてゆけません。
ここで、各専門家の意見をご紹介します。
出典「健康自立力」脳神経外科専門医 田中佳 著 メタモル出版より
『塩分を摂ると高血圧になると皆さんは洗脳されていますが、次の事実を知ってもそう思うでしょうか。
減塩せよという医者が、点滴という塩水を血液に入れています。機会があれば実物を見てください。塩化ナトリウム○○gと記載されています。「えっ?」ですよね。医者は言っていることと、やっていることが違うのではありませんか?』
出典:お茶の水クリニック院長・森下敬一博士著 国際自然医学界より
『塩分?よくよく考えてみると当時は、1日40g摂っていました。今は平均8~9gらしいですね。それでもまだ多い、アメリカ並に5gにしろ、というのが厚労省の目標らしいですが、私は40g摂っていた。
敗戦直後の昭和20年~32年頃までは間違いなくそれくらい摂っていました。そしてそれが、実は私どもに健康と長寿を与えているのだ、というのが私の考えです』
最後に
減塩についてご説明しました。いかがでしたか?
血圧の問題は私達に健康にかかわる重要な問題です。
言われた通りに減塩しても高血圧が解消されない方。減塩で元気がなくなっている方、減塩を否定した考え方を参考にしてみるのも良いのではないでしょうか?