健康に良いとされる食物繊維。その食物繊維のなかで、「フコイダン」という成分が注目を集めています。
現在、フコイダンは代替医療の分野で活躍しています。
コレステロール低下作用や生活習慣病を予防することもできると言われているフコイダンについてご説明します。
フコイダンとは?
フコイダンは食物繊維です。腸内で余分な有害物質やコレステロールをからめて排泄をしてくれます。血清コレステロールや血糖の上昇を抑える作用があり、脂質異常症や糖尿病の予防効果が期待されています。
食物繊維とは?
食物繊維は、「ヒトの消化酵素で消化されない食品中の難消化成分の総体」と定義されています。以前は「食べ物のカス」とされていましたが、最近では次々と健康機能が発見され、注目されています。
水に溶けない不溶性食物繊維と、水に溶ける水溶性食物繊維に分類されます。不溶性食物繊維は、腸の働きを刺激して、腸内に発生した有害物質の排出を促し、便秘などを予防します。
水溶性食物繊維は、コレステロールや糖質の腸内からの吸収をさまたげてくれます。
フコイダンは、もずくやこんぶ、ワカメなどの褐色の海藻の細胞壁と細胞壁の間にあるヌルヌルした成分で、アガリスク(キノコ類)などのフコースという糖に硫酸基が結合したものです。
硫酸基とは?
硫酸の基となる成分ではあるが、硫酸ではなく有機物と結合した場合は無害になります。また、人の健康に良い効果をもたらす場合が多いと言われています。
フコイダンは、紅色の海藻であるカラギーナンや、ワカメなどに含まれるアルギン酸、てんぐさなどの寒天とともに海藻多糖類と呼ばれます。
多糖類とは?
フコイダンが属する多糖類とは、グルコースやマンノース等の単糖が長くつながったものの総称で、一般的には10個以上の単糖が結合することで構成されている炭水化物のことをいいます。
多くの多糖類が、それを構成する単糖とは異なる特性を持ち、構成糖の種類や結合方法、分子量や主鎖(しゅさ)、側鎖(そくさ)の形態により様々な性質を持ちます。
ちなみに、単糖の結合が2個から10個までのものが一般的にはオリゴ糖とされるようです。
フコイダンがもたらす5つの効果
フコイダンは健康長寿の鍵
沖縄は、長寿の県として知られていますが、日常的によく海藻を食べます。そのこんぶやオキナワモズクなどの海藻にはフコイダンが特に多く含まれていて、長寿の理由の一つだと考えられています。
フコイダンにアポトーシス作用?
フコイダンはガン細胞に触れると、そのDNAに働きかけて、アポトーシスを促すことが証明されています。
アポトーシスとは?
アポトーシスはギリシャ語で「秋に枯葉が落ちる状態」が語源ということです。
細胞にはもともと自然に消滅する機能が備わっていて、新陳代謝や成長のために重要な役割を果たしています。
フコイダンでアレルギーの改善も
最近は、食品にまで有害物質が混入しています。あまり神経質に考えると、食べるものが無くなってしまうほどです。野菜や果物に使われる農薬、牛・豚・鶏等の飼料に入れる抗生剤などの薬物。安全な食品は手に入れるのがむずかしい状態です。
また、飲料水に含まれる塩素、空気中のPM2.5なども考えると、体内に有害物質を入れないことはほとんど不可能です。
食物繊維の一種であるフコイダンは腸内で有害物質をからめとって排泄してくれます。
フコイダンによる免疫を高める働き
マウスによる実験で、「フコイダンによりNK細胞活性が有意に上昇する」と国際免疫学会で発表されています。
NK細胞とは?
がん細胞やウィルス感染細胞を殺傷することができるリンパ球集団です。T細胞との違いは、あらかじめ抗原に感作されることなくがん細胞やウィルス感染細胞を殺傷できること。
フコイダンによる血管新生抑制
フコイダンには、がんの成長や転移を防ぐ血管新生抑制効果があるとの研究結果が国際免疫学会で発表されています。
また、がん細胞は新しい血管を使って転移することがわかっっています。
血管新生を抑制してしまえば、がん細胞は新しい血管を作ることができないので成長できないということになります。
血管新生とは?
血管新生とは、最初からある血管から新しい血管が形成されること。
がん細胞は、自分自身が成長するために必要な酸素や栄養素を得るために血管を形成しようとします。よって、がん増殖過程でも血管新生が起こります。
フコイダンを摂れる食品
褐藻類であるモズク、メカブ、コンブ、アカモク、ウミトラノオなどに多く含まれています。また、類似の物質はナマコなどの動物からも見つかっているということです。
1996年に琉球大学農学部のグループにより、もずくフコイダンの化学構造は、発表されているが、ワカメなど他、大部分のフコイダンは解明されていません。
低分子のフコイダン、高分子のフコイダン、どっちが良い?
フコイダンは低分子でなければ効果がないという考え
サプリメントなども「低分子のものが良い。」ということは良く耳にするのではないでしょうか。低分子でなければ、その成分が腸から吸収されないからということです。
フコイダンも「摂取しても吸収されなければ意味がない」として分子量500以下のものもあるようです。実際にそちらの方が、効果あるという考えです。
高分子のフコイダンこそがフコイダンの力を発揮するという考え
フコイダンは元々高分子で、分子量は数万以上あります。抽出するとその過程でもフコイダンは低分子化されます。500以下まで低分子化してしまうと、糖の結合は2~3個になり、「これは多糖類には当たらず、もはやフコイダンとは呼べない」というものです。
フコイダンの抗腫瘍を活性化している仕組みは解っていません。
しかし、一つの説として、小腸内に存在する免疫機関であるパイエル板に消化されないままの高分子のフコイダンがとり込まれることで、免疫が活性化しているのではないかと考えられているようです。
大切なのは「自分に合っているかどうか」
食物繊維は、吸収されずに腸内に留まります。腸内細菌の醗酵しやすい環境をつくり、善玉菌と言われる乳酸菌などを増やして腸内環境を改善します。高分子であることにも理由があり、吸収されないことにも理由があるのではないでしょうか…
健康食品にしてもサプリメントにしても、極端な抽出など人工的なものは、当然バランスが崩れます。安全面からみても絶対とは言えません。
フコイダンが良いということであれば、私は、効果に時間がかかっても「極力自然に近いもの」と考えますが、一番大切なことは、結果的に効くかどうかです。副作用も含めて、「何が一番自分にあっているのか?」を見極めることが重要です。