大根とは?
原産地は地中海沿岸と言われていて、現在では世界中で栽培されています。日本には弥生時代には伝わっているようです。大根は、緑黄色野菜でもあり、淡色野菜でもあり、白以外に赤、緑、紫、黄、黒などがあります。
私たちが主に食べる部分は大根の根の部分です。名前の由来は、大きな根(おおね)→大根…なのだそうです。
芝居の下手な役者のことを『大根役者』と言いますが、これは「殺菌作用のある大根を食べると食中毒にならない」ということから、「食あたりしない」ことに「当たらない役者」をかけたものなのだそうです。
大根の薬効
胃腸の強化
デンプンの消化酵素であるジアスターゼが多く含まれている他、グリコシターゼなどの酵素が含まれているため、食物の消化を助け、腸の働きも整えてくれます。
解毒作用
ジアスターゼにはデンプンだけでなく、タンパク質や脂肪の消化も助け、発ガン物質の解消など高い解毒作用もあります。
胃液の分泌を高め、消化を促進する働き
大根の辛み成分(アリル化合物)には消化を促進する働きがあり、餅や芋を食べ過ぎて胃もたれを起こした時に大根おろしを食べると楽になります。
胃酸を中和する作用
ゲップ、胃もたれ、胸焼け、などの胃酸過多の諸症状の改善してくれます。
二日酔い
すり下ろして食べると、胃の不快感解消するとともに肝臓の働きを高めてくれます
脳卒中の予防
ビタミンPは毛細血管を強くしてくれます。
美容効果
大根の葉には、カルシウムなどのミネラルやビタミンが多く、ニキビや吹き出物を改善し、目の充血や歯根の出血にも効果があります。
大根に含まれる栄養成分とその働き
大根の主な栄養成分には、ビタミンA、ビタミンC、食物繊維(リグニン)、ジアスターゼ(アミラーゼ)、フラボノイド、カリウム、カルシウム、葉酸、ビタミンB1、カルシウム、ナトリウム、リン、鉄など多くの有効成分を含み、栄養の宝庫と言われています。
大根は、すりおろすことで酵素が倍増します。大根おろしといっしょに出る水分は水溶性のカリウムが溶け出しているので捨てずに摂ることが大切です。
ビタミンA
ビタミンAは、皮膚、のど、鼻、肺、消化管などの粘膜を正常にする働きを持つので、感染症を予防し、免疫力を高めることにも役立ちます。発ガン抑制作用が動物実験により認められています。
ビタミンAの前駆体のβカロテンは抗酸化力を持ち、有害な活性酸素を消去し、老化やがんの抑制に働きます。
また、ビタミンAは、目が光を感じるのに必要な網膜の色素ロドプシンの主成分です。ロドプシンは、わずかな光にでも反応して、壊れ、脳に刺激を与え、それによって人の目は暗闇でもだんだん見えるようになります。
ビタミンC
ビタミンCは、皮膚や腱、軟骨などの結合組織を構成するコラーゲンの合成に必要です。そのためビタミンCは、皮膚や骨の健康を維持したり修復するために不可欠なのです。
ビタミンCは、抗ストレス作用を持つ副腎皮質ホルモンの合成を促進したり、腸管での鉄の吸収率を高める働きをします。
また、強い抗酸化力により、過酸化脂質の生成を抑制して、動脈硬化、脳卒中、心筋梗塞、などを予防したり、発ガン物質であるニトロソアミンが作られるのを抑制してくたりします。
ビタミンCは、熱に弱いので、大根おろしがおすすめです。また、ビタミンCは、皮の方に2倍含まれていることも知っておきたいことの一つです。
フラボノイド
フラボノイドは、ポリフェノールの一種のため、抗酸化作用があります。また、特徴的な機能は、毛細血管の浸透性を向上させることで血圧を正常にコントロールしたり、高血糖にならないための作用が期待されます。
カリウム
カリウムは、その多くは細胞内に含まれていて、細胞外のナトリウムと作用し合いながら、細胞の浸透圧を維持したり、水分を保持したりします。
また、ナトリウムが腎臓で再吸収されるのを抑制し、尿への排泄を促す働きがあり、高血圧予防に有効と考えられています。
カリウムには、細胞内の酵素反応を調節する働きもあり、エネルギー代謝をスムーズに行わせます。
カルシウム
骨では、骨形成といって新しく骨をつくったり、骨吸収といって古くなった骨をこわすことが繰り返されています。この活発な骨の代謝に最も関係しているのがカルシウムです。
カルシウムは、血液や筋肉などすべての細胞に分布し、血液凝固、筋肉収縮、神経の興奮を抑制します。
また、細胞内外のカルシウム濃度を利用して、細胞の機能調節を行ったり、ナトリウムを排泄して、血圧の上昇を防ぐ働きもあります。
葉酸
- 葉酸は、『造血のビタミン』ともいわれ、ビタミンB12とともに新しい赤血球を正常につくり出すために必要
- 葉酸は、タンパク質や、細胞をつくり出すために必要な核酸(DNAやRNA)を合成するために必要
- 葉酸を摂取する事で、神経管閉鎖障害という胎児の先天性異常を予防できることがわかってきている
- 欠乏すると、新陳代謝の盛んな口腔に炎症ができたり、肌荒れや疲労感などが現れる
ビタミンB1
- ビタミンB1は、体内で糖質がエネルギーが変わる時に必要な補酵素
- エネルギーの大半をご飯などの糖質で摂っている日本人には重要なビタミン
- 不足すると、糖質の代謝が滞り、乳酸やピルビン酸などの疲労物質が蓄積し、疲労や筋肉痛などが起こる
- 不足すると、手足のしびれや反射神経の異常などの症状が現れる
ナトリウム
細胞内外のミネラルバランスが一定に保たれる「ナトリウム・カリウムポンプ」のしくみにより、細胞外液の浸透圧が維持されたり、酸やアルカリのバランスが調整されています。
リン
- カルシウムやマグネシウムと結合して、骨や歯を形成する
- 糖質、タンパク質、脂質と結合して、細胞膜やDNA、RNAの核酸の構成成分としてあらゆる細胞に存在する
- ATP(アデノシン三リン酸)という高エネルギーを発生する物質の構成成分
鉄
- 赤血球のヘモグロビンや筋肉中のミオグロビンの構成成分となり、肺から取り込んだ酵素を全身の組織に供給する
- 酵素の構成成分となり、エネルギー代謝において重要な働きをしている
大根の活用
冷え取り
大根の葉は、冷え取りの薬になります。大根干葉湯(ひばゆ)は、体を温め血行やリンパの循環を促進する効果だけではなく、老廃物の排出、リラックス効果で自律神経を安定させます。婦人病全般に有効なのだそうです。
皮膚のトラブルには、煮出し汁をお風呂に入れたり、患部のパッティングも良いようです。
のど飴
大根を1cm角に切って瓶に入れ、ハチミツをかけます。密栓して冷暗所に置き、3日くらいでハチミツと大根の水分が混ざり合って薬効のある液体が出来上がります。せきやのどの痛みなどに効果があります。
大根の保管
大根は土の中で立った状態で生えているので、そのような状態で保管すると長持ちします。軽く濡らした新聞紙でつつみ、飲み口を切ったペットボトルに入れて立てて置くといいようです。新聞紙を濡らさないと、大根の水分を吸って、乾燥してしまいます。
昔から私たちの身近にある食材に、これほどの有効成分があることに驚きです。「たかが大根、されど大根」
自然て、すばらしくて、ありがたいですね。