11月になると、スギ花粉で悩まされている方が増えますよね。
厚生労働省によると、ある最近の調査では、スギ花粉症の有病率は20%を超えると報告され、少なくてもスギ花粉症はアレルギー性鼻炎と共に増加していることは明白で、また、花粉症の低年齢化を示しています。
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アレルギー性鼻炎とは?
風邪をひいたわけでもないのに『くしゃみ』『鼻水』『鼻づまり』『頭痛』などが起こります。
アレルギー性鼻炎は大きく分けて2種類
・通年性のアレルギー性鼻炎
通年性のアレルギー性鼻炎は、ハウスダストによるものです。ハウスダストというのは、ダニの糞や死骸、イヌ・ネコ・モルモットなどの毛、人間のフケなどです。
・季節性のアレルギー性鼻炎
季節性のアレルギー性鼻炎は、花粉などによるものです。花粉にはスギの他に、ヒノキやキク科のブタクサなどがあります。
アレルギー反応は、体内に異物が入らないための防御反応なのです。
アレルギー性鼻炎と風邪との違い
・風邪は、喉の痛みがともなうが、アレルギー性鼻炎のほうは喉の痒み、違和感はあるが痛みはない
・アレルギー性鼻炎は、鼻水が透明で水っぽく、抑えないと流れてしまうようなもので、粘度の高い風邪の時の鼻水とは違います。
アレルギー性鼻炎が起きる仕組み
①人体内に抗原(ハウスダスト、スギ花粉抗原)が入る
⇒②白血球の一つであるマクロファージが①の抗原を認識する
⇒③マクロファージが得た抗原の情報が、T細胞(リンパ球の一種)に送られる
⇒④マクロファージにはHLAという抗原排除を選択する因子があり、スギ花粉を異物と捉える因子がある場合には、T細胞と花粉抗原と結びつき複合体を形成
⇒⑤複合体が形成されると、T細胞が抗原の情報をB細胞(リンパ球)へと送り、抗原と反応するIgE抗体が作られる
⇒⑥作られたIgE抗体が、※1マスト細胞上で溶けだした抗原と反応することにより身体にとって有害な状態が起こる
※1マスト細胞とは造血幹細胞から分化するもので粘膜の下や結合組織に位置する免疫を担う細胞
アレルギーの仕組みは免疫反応の一部ですが、異物に対して反応する際に自分の身体を傷つけてしまう反応をいいます。
アレルギー性鼻炎の症状
一日中何度も繰り返すくしゃみ
アレルギー反応によって放出されたヒスタミンなどの成分が、鼻粘膜表面の神経を刺激して『くしゃみ』を引き起こします。
水のように流れる鼻水、鼻づまり
くしゃみが起こると、反射的に鼻汁(びじゅう)の分泌を引き起こします。放出されたヒスタミン、産生されたロイコトリエンという物質は、血管に作用して鼻づまりを引き起こします。
異常な目の痒み
結膜でもIgE抗体と結膜の表面で溶けだした抗原成分が、マスト細胞上で結合してヒスタミンが放出され、同じように結膜細胞の神経が刺激され、痒みが生じます。
反射的に涙が分泌され、神経が刺激されることによって過敏になり、異物感が残ります。
その他
・花粉によってアレルギー性鼻炎または、アレルギー性結膜炎が生じたものを花粉症といいますが、頭痛、全身倦怠感などの症状や、目の周り、耳、襟首が赤くなったり、喉の痒みなどの症状もあります。
・思考力の低下や集中力の低下がみられます。
・また、妊婦はアレルギー性鼻炎の症状が悪くなることがあり、小児に関しては鼻の痒みなどが強いため、鼻こすりや、顔面運動、顔面の変化(目の周りのくま、鼻尖部に横に走るすじ)がよくみられるようです。
アレルギー性鼻炎の原因
厚生労働省によると、花粉症の原因は、様々な遺伝因子と環境因子が関与しているということで、患者さんの増加の環境要因として次のものが報告されています。
①飛散花粉数の増加 ②母体・母乳の影響 ③大気汚染 ④喫煙 ⑤居住環境⑥食生活 ⑦腸内細菌叢の変化 ⑧感染症の減少
環境因子
・抗原
ダニ、スギ花粉についでイネ可、キク華などの花粉。ネコ、イヌ、モルモットの毛、フケなどがあがれれています。
・抗原以外
大気汚染、(ディーゼル排気粒子、喫煙、居住環境の変化、高タンパク高脂肪の食事、腸内細菌叢の変化、感染症(結核や寄生虫)の減少
アレルギー性鼻炎の対策
飛散花粉数の増加
花粉の量は今のところ私達が自分で減らすことはできません。対策は花粉情報がありますから花粉の多い日はなるべく外出を控えることくらいでしょうか?
ただ、花粉症用のグッズも多少は役に立つようです。
「花粉症用マスクは6分の1、花粉症用のめがねは4分の1程度減少することがわかっている」厚生労働省HPより
これは大気汚染にも同じことが言えます。
母体、母乳の影響
これは⑥の食生活とも関係があります。妊婦の身体に毒素が入れば、その毒は胎児のほうに解毒されてしまいます。通常、母親は気持ち的には自分の命よりもわが子を守りますが、自然的には母体が一番に守られるのだそうです。
母親が日常、アレルギーの原因となるような食生活をしていれば、胎児はそのまま影響を受けてアレルギー体質になってしまう可能性があります。妊婦は特に食事には気を付けなければなりません。
腸内細菌叢の変化
また、ヒトの身体には100兆個といわれる微生物が共生しています。その多くは腸内に生息しています。その細菌たちによって私たちの身体は守られています。
私達の食べたものを分解して必要な栄養素に変えてくれたり、毒になるものを分解して排出してくれたり、皮膚を紫外線から守ってくれたり…。
私達の身体に生息しているすべての微生物が死滅したら、私たちは少しも生きられないようです。
腸内細菌には私達に良い影響を与えてくれる善玉菌と強い菌に味方する日和見菌と体内で悪さをしかねない悪玉菌がいます。そのもっとも良いバランスは、3:6:1と言われています。
腸内細菌叢の変化というのは、このバランスが崩れてしまっているということです。その理由は、動物性蛋白質の摂り過ぎなどによる悪玉菌の増加や、加工食品などの食品添加物や、薬の飲み過ぎによる腸内細菌の死滅が言われています。
薬の摂取は最小限にすることや、食品の添加物に注意することは必要です。
油の種類に注意
皮膚のトラブルや花粉症、慢性的な鼻づまりなどは、アレルギー性のものが一般的です。おもなアレルギー反応のひとつに炎症があります。私達の体は血液の量を増やしたり、血管の量を増やしたり、血管の浸透性を高めたりといった炎症反応を通して異常事態から体を守ろうとします。これが腫れやかゆみ、くしゃみといった不快な症状につながるわけです。
炎症反応は、体内でつくられるいくつかの物質が介在することによって生じていることが知られていますが、実はこれらの物質の一部が体内の「油」を原料につくり出されるのです。しかもそれは、一個一個の細胞を構成している「油」です。
出典:『病気がイヤなら油を変えなさい』(河出書房新社/山田豊文・著)
上述と同じ食生活の問題ですが、アレルギー性鼻炎には脂肪酸の問題もあるかもしれません。必須脂肪酸にはアラキドン酸、リノール酸、α-リノレン酸の三つがあります。必須脂肪酸は体内では合成することができないので食べ物で摂らなければなりません。
しかし、オメガ6脂肪酸であるリノール酸は、アレルギーを起こす脂肪酸でもあります。それを抑えるオメガ3脂肪酸とのバランスが重要で、必要異常に摂取するとアレルギーを起こします。
リノール酸は、紅花油、コーン油などの植物油などに含まれます。最近ではオメガ3脂肪酸に対して、オメガ6の脂肪酸が、けた違い多く摂取している現状です。
極力、オメガ6脂肪酸を控えて、オメガ3脂肪酸を摂取することが必要です。オメガ3脂肪酸が摂れる代表的なものは亜麻仁油です。イワシやサバやうなぎなどの魚油からも摂れます。
居住環境
昔は、アレルギーなどという病気は無かったようです。日本の気候の特徴は、高温多湿です。昔のように木造で隙間が多く、風通しの良い住まであれば、カビやダニなども発生しません。
日本の平均気温は1898年以降では100年あたりおよそ1.1℃の割合で上昇しています。特に、1990年以降、高温になる年が頻繁にあらわれています。
出典:『気象庁HP』
しかし、1960年代ごろからアルミサッシが普及しはじめ、住まいが中途半端に気密化されたために風通しが悪くなり、カビやダニが多くなりました。
今は昔のように隙間だらけの家に戻ることはむずかしですね。コンクリートばかりで、土が少なくなり気温はかなり上昇しています。室外機の熱風により外の気温はより上がり続けます。
気密、断熱をしっかりして、計画換気できていれば、結露などによるカビやダニの問題はほとんど無くなります。
ご自分やご家族のアレルギーの原因を見つけ出し、その一つ一つを解決してゆくことを試してみてはいかがでしょうか?