女性のボディービルダーのチャンピオンがテレビに出ていました。一昔前までは女性のボディービルダーなんて考えられなかったと思いませか?
確かに美しいんです。上半身は筋肉でがっしりしているのに対してウエストは内臓が入っているのかと思うほど細いんですね。
今では女性にとって美容のひとつになっているようです。
その女性が、
「どんなものを食べているのですか?」と質問されました。
「よく食べているのは、これです。」
何とおはぎの写真が映し出されました。
これも一昔前では、考えられません。美容の究極を行っている人が、一番食べるものがあんこのおはぎなのですから。
食べたくても、食べないように我慢している人…、結構多いのではないでしょうか?
あずきって?
日本では縄文時代から古墳時代前期までの遺跡から、あずきの炭化種子が発見されていて、奈良時代初期の「古事記」に初めてその名が登場します。
日本や中国、朝鮮では、あずきの赤色に魔除けなどの神秘的な力があると信じられ、行事や儀式などに使われてきました。これらの習慣は、中国に始まり、朝鮮半島を経て日本に伝えられたとされています。
「五穀豊穣(ほうじょう)を祈る」
私たち穀菜食民族は、五穀が豊穣であれば、何よりも有難いことだったのだそうです。五穀(イネ、ムギ、アワ、ヒエ、マメ)、その豆の中でも大豆と並んで珍重されたのがあずきなのです。
あずきの効果
・疲れやすい人に
あずきにより、利尿・解毒が促されると、血液がきれいになり内臓の疲れも取れます。
・日本人があずき食品が好きなのは?
大半の日本人が、饅頭やおしるこなどあすきを使った食品に目がないのは、あずきとの生理機能の結びつきが緊密で、強い生理的欲求が生じるのだと言われています。
・ビタミンB1のチカラ
あずきに多く含まれるビタミンB1は、デンプン質の代謝に不可欠です。穀物食中心の私たち日本人は、ビタミンB1の豊富な食品を極力補給する必要があります。
女性のボディービルダーが、あずきのおはぎをたくさん食べている理由もそこにあるのではないでしょうか。
・便通は美容にも健康にも不可欠
あずきは、硬い組織でできている皮が腸の運動を高めるとともに、サポニンが腸を刺激して便通をよくしてくれます。デンプン質は腸壁に及ぼす作用が穏やかなだけに、腸内容物は停滞しがちなのだそうです。
・昔からのあずき食品は合理的
赤飯、汁粉、おはぎなどはいずれもデンプン質とおはぎを組み合わせたものでとても合理的な利用法です。
・あずきの利尿・解毒作用
昔からあずきは、咬傷(こうしょう)や鼠毒症の特効薬とされていたようです。毒素が血液中に入って、高熱を出した時に、あずき粉を水でたくさん飲ませ、利尿・解毒させます。
脚気や腎臓病・心臓病のむくみを治し、症状を軽くさせるというのも同様の作用によるものです。
・乳の出が足りないかた
あずきには催乳作用(さいにゅうさよう)があり、あずきを続けて食べていると乳の出が良くなると言われています。
あずきに含まれる主な栄養素
ビタミンB1
ビタミンB1は、糖質をエネルギーに変える時に働く補酵素です。摂取エネルギーの大半を糖質から摂る私たち日本人にはとても重要ない栄養素です。
ビタミンB1が不足すると、糖質の代謝がうまくいかず、疲労物質である乳酸やピルビン酸などが蓄積し、疲労や筋肉痛の原因になります。
ビタミンB1には、脳の中枢神経や手足の末梢神経の働きを正常に保つための働きもあります。不足すると、手足のしびれや反射神経の異常などの症状が現れます。
食物繊維
水に溶けない不溶性食物繊維と、水に溶ける水溶性食物繊維に分類されます。
・不溶性食物繊維
腸の働きを刺激して、腸内に発生した有害物質の排出を促進する作用があり、便秘を予防したり、腸に関する病気を抑制したりします。
・水溶性食物繊維
コレステロールや糖質の腸内からの吸収を妨げ、血清コレステロールや血糖の上昇を抑える作用があり、脂質異常症や糖尿病の予防効果が期待されます。
また、腸内細菌の醗酵を受けやすく、乳酸菌などを増やして腸内環境を改善します。
カリウム
カリウムには、細胞内の酵素反応を調節する働きがあり、エネルギー代謝をスムーズに行わせます。
カリウムには、ナトリウムが腎臓で再吸収されるのを抑制し、尿への排泄を促す働きがあります。それにより、血圧を下げる作用があるとして、高血圧予防に有効であると考えられています。
亜鉛
亜鉛は、タンパク質やDNAの合成や糖質の代謝、インスリンの合成、免疫反応などに関わる酵素の成分となります。
また、口内には、味蕾(みらい)という味を感じる細胞の集合体があります。味蕾は、新陳代謝が活発で10日~12日で新しく生まれ変わります。亜鉛はその形成に不可欠となります。
サポニン
水に溶かすと泡立つ特徴があります。油脂を溶かす界面活性作用があり、脂肪やコレステロールを取り除く働きがあり、抗酸化作用も認められています。また、抗菌作用も報告されています。
あずきのその他
あずきが好きなのに便秘?
女性は、多くの人が、まんじゅう、もなか、どら焼き、たい焼き、今川焼、アンパン、牡丹餅などのあずき製品が好きです。それなのになぜ便秘症の人が多いのか?
その理由は、白砂糖がたくさん使われているからかもしれません。白砂糖は、腸の組織をだらけさせ、蠕動運動を弱めてしまうようです。
黒砂糖を使う
その対処としては黒砂糖を使ったものを食べることです。黒砂糖には便を軟らかくする働きがあるので、あずきの緩下(かんげ)作用はいっそうよくなります。
塩味も良い
あずきは、甘みをつけなければいけないということではなく、茹でたものを塩味で食べたり、汁の実(おこと汁)にしたり、塩あんというのもおいしいものです。
産地など
日本におけるあずきの主要産地は北海道で、国内生産量の8割強を占めています。輸入ものは主として中国から天津小豆(てんしんしょうず)、東北小豆(とうほくしょうず)などの銘柄があります。
品種には「エリモショウズ」「きたおとめ」「しゅまり」などがあり、作付け面積は「エリモショウズ」が5割を占めます。
あずきの中でも特に大粒で、煮ても皮は破れにくい特徴を持つ特定の品種群は「大納言」と呼ばれ、流通・加工上、普通のあずきと区別して扱われます。一般的に、あずきと言う場合は、大納言以外の普通品種を指し、煮崩れしにくい特性を持たない品種は、いくら大粒でも「大納言」とは呼ばないそうです。
白あずき
あずきの皮の色は普通は赤(あずき色)ですが、黒・白・緑・茶・灰色・斑文・白地赤斑などがあります。国内で生産されるのは白小豆(しろあずき)と呼ばれる白系統で、岡山県の「備中白小豆」・北海道の「きたほたる」などが僅かに生産されています。
白小豆は、あずきの白あんとなり貴重です。生菓子・羊かん・最中などに用いられています。
料理
圧力釜を使い、水をあずきの量の2倍加え、20分間沸騰させた後、蒸らすだけであずきは柔らかく煮上がります。圧力釜がない場合は、竹の皮か笹の葉を入れて煮ると、自然の亜硫酸の作用で早く柔らかくなるようです。
あずきの購入は、油臭(あぶらしゅう)のないものを買いましょう。
日本では1月15日(小正月)に小豆粥を食べる習慣があります。邪気を払って一年の健康を願うそうです。
おいしくて、身体にも、美容にも良い。そしてなんか美しいあずき…。
感謝の念を持って、1月15日に小豆粥を食べようと思います。
参照
・森下自然医学
・公益財団法人日本豆類協会
・栄養の基本がわかる図解辞典